研究課題/領域番号 |
09556018
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
応用微生物学・応用生物化学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小川 順 京都大学, 農学研究科, 助手 (70281102)
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研究分担者 |
古谷 祐治 池田糖化工業(株), 研究室, 次長(研究職)
遠藤 隆一 日東化学工業(株), 中央研究所, 首席主任研究員
清水 昌 京都大学, 農学研究科, 教授 (70093250)
小林 達彦 京都大学, 農学研究科, 講師 (70221976)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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キーワード | シアン / C1化合物 / ニトリルヒドラターゼ / β-シアノアラニン合成酵素 / ニトリラーゼ / β-シアノアラニン |
研究概要 |
大きく別けて[I]と[II]の2つの実験を行った。 [I] Pseudomonas ovalisから(シアンとアミノ酸が縮合し)ニトリルを合成する酵素(β-シアノアラニン合成酵素)の精製標品アミノ酸配列の情報をもとに、本菌の染色体DNAに対しPCR反応を行った。本PCR反応により増幅したDNA断片(約700bp)をプローブとして、サザンハイブリダイゼーションでポジティブな約2kpのDNA断片を取得し、全塩基配列を決定した。次に、大腸菌におけるβ-シアノアラニン合成酵素の発現を検討した結果、多量のβ-シアノアラニン合成酵素が発現し、最適条件下では可溶性タンパク質の約40%を占めるに至った。続いて、ニトリラーゼとβ-シアノアラニン合成酵素を組み合わせたKCNからのアミノ酸合成実験を行った。Rhodococcus rhodochrous K22のニトリラーゼとP.ovalisのβ-シアノアラニン合成酵素の構造遺伝子をそれぞれlacプロモーターの下、大腸菌で発現させた結果、両酵素とも可溶性タンパク質として発現した。本両酵素含有粗抽出液をKCNとO-acetyl-L-serineを含む系に添加し反応させたところ、速やかにKCNからβ-シアノアラニンが生成した後、Aspの生成が認められた。 [II] ニトリルヒドラターゼとβ-シアノアラニン合成酵素を組み合わせたシアンからのアミノ酸合成実験を行った。すなわち、放線菌R.rhodochrous J1のニトリルヒドラターゼ遺伝子プロモーターの下流にニトリルヒドラターゼとPseudomonasのβ-シアノアラニン合成酵素の遺伝子を連結した発現プラスミドを構築し、R.rhodochrous ATCC12674で発現させた。得られた形質転換体の無細胞抽出液をHCNとO-アセチル-L-Serを含む系に添加し反応させたところ、速やかにKCNからβ-シアノアラニンが生成し、最終生成物であるAsnの生成が認められた。一方、β-シアノアラニン合成酵素遺伝子だけを導入した大腸菌形質転換体が本酵素を大量に生成することを認め、本無細胞抽出液から精製した本酵素と、(別にR.rhodochrousJ1から精製した)ニトリルヒドラターゼをともに使用して実験を行ったところ、KCNとO-アセチル-L-Serからβ-シアノアラニンが生成し、その後、比較的収率よくAsnへ変換された。このように、Cl化合物であるKCNを利用して有用なアミノ酸を合成できる系を確立した。
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