研究概要 |
西洋イチイ樹皮から微量の抗腫瘍性物質タキソ-ルが発見されて以来、世界的にタキソ-ル類縁体資源の探索研究が行われている。新たな生物資源の探索のために中国産南方イチイTaxus mairei(中国江西省産)の樹皮及び針葉のタキサンジテルペノイド類の探索を行った。メタノール抽出物について成分検索を行いカラムクロマトグラフィー、分取TLC,分取TLCなどによりタキソ-ルの外に40種のタキサンジテルペノイド類を同定した。1D及び2D-NMRによる構造解析により新規物質としてA環が5員環に縮環した2α,7β-diacetoxy-9α-benzoyloxy-4α,20-epoxy-11(15-1)-abeotax-1-ene-5α,10β,15-tetraolを単離し構造を決定した。さらに,3及び4環性タキサンジテルペノイド類の生合成前駆体と予測される2環性タキサンジテルペノイド類としてcanadensene,5-deacetyltaxachitriene B,taxachitriene A,Bおよび新規物質として5-(2'-hydroxy-3'-N,N-dimethylphenylpropionyl)taxachitriene Aを単離、同定した。第一次生物活性評価法として抗腫瘍活性とパラレルな関係にあるブラインシュリンプ活性試験を試みたが、これらの新規物質はいずれも活性を示さなかった。活性発現のためには13-位にphenylisoserine側鎖の導入が必要と推定された。
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