研究課題/領域番号 |
09556022
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
生物生産化学・応用有機化学
|
研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
柏村 直樹 三重大学, 生物資源学部, 教授 (20026412)
|
研究分担者 |
済木 育夫 富山医科薬科大学, 和漢薬研究所, 教授 (80133776)
稲垣 穣 三重大学, 生物資源学部, 助手 (20242935)
吉田 利通 三重大学, 医学部, 教授 (80166959)
谷本 敏子 武庫川女子大学, 薬学部, 助教授 (10151870)
木岡 紀幸 京都大学, 農学部, 助手 (90234179)
|
研究期間 (年度) |
1997 – 2000
|
キーワード | 脂溶性糖質 / がん転移阻害活性 / ヒト培養がん細胞株 / 抗接着作用 / 部分ベンジル化糖 / プリン誘導体 |
研究概要 |
本研究は、平成7-8年に行ったトリベンゾイルリボース誘導体の細胞接着阻害作用の研究成果を基に、脂溶性糖質誘導体の癌転移阻害作用を検討し、分子設計を行い、新規な制がん剤のリード化合物の候補を探索することを目的とした。本研究においては、500種以上の新規なあるいは既知の化合物が検討され、最終的に8種のリード化合物が各種のin vitro、in vivoテストに供され、新規ながん転移阻害剤のリード化合物となるかが検討された。部分ベンジル化糖は、初期の部分ベンゾイル化糖から発展したものであり、制癌制の性質と調製の容易さ、ヒトがん細胞に対する特異性、および動物実験の結果から有望なリード化合物であることがわかった。特に1種の化合部がほぼすべてのテストで活性を示し、また、立体的にも各種の異性体が入手可能であるので今後の応用や調製の検討で有用な誘導体となろう。3種の化合物は活性のあった部分ベンジル化グルコースと並んで、バイオマスのフコイダン、キチン、キシラン、およびセルロースから調製可能であり、今後の詳細な実験が期待される。プリン誘導体は基礎的な活性を示したものが多く、また毒性も高いものが多かったが、4種の化合物はいずれも著しい生理活性と新規な特徴を持ち、さらにヒトがん細胞パネルテストで作用機構も新規なものが予想された。興味あることにこの4種の化合物はそれぞれ少しずつ作用がことなり、しかも有効濃度は10^<-6>M以下である。動物実験やヌードマウスによるヒトがん細胞試験は現在のところ2種しか実施できなかったが、そのうち1種は有効であることがわかった。本研究の成果の特徴は、多くの誘導体がバイオマスからの調製が可能であること、細胞毒性がすくないこと、作用機構が新規なものが予想されること、の3点である。また、今後の課題は、体内動態分析と臨床実験への準備である。そのための大量調製法は可能なものが多い。
|