研究概要 |
我々は,Agrobacterium tumefaciensに抗菌活性を示すoxazolomycinから調製したエステル類が,抗菌活性を示さずクラウンゴール形成阻害活性を示す,特異的な形質転換阻害物質であることを見い出してきた。今回,これらの作用点解明に必要な量のoxazolomycin diacetateをoxazolomycinから調製することにした。その変換反応の後処理で水が反応液に混入したため一部のoxazolomycin diacetateが他の化合物に変化した。そこで,この副生成物を分取HPLCにより単離精製した。各種機器分析の解析により本物質をoxazolomycin生産菌の培養液から昨年新たに見いだしたoxazolomycinの幾何異性体,oxazolomycin Cのdiacetateと同定した。次に,oxazol triene構造を有するphthoxazolinがセルロース合成阻害活性を有していること,植物形質転換の最初の段階である,A.tumefaciensの植物への付着の段階にセルロース合成が必須であることが報告されているので,oxazolomycin類のクラウンゴール形成阻害活性は,セルロース合成阻害活性に由来する付着阻害活性によるものと推測し,付着阻害活性を測定した。 Oxazolomycinとoxazolomycin diacetateは,A.tumefaciens接種後1時間の菌のポテトディスクへの付着実験において,付着阻害活性を示した。さらに,A.tumefaciensから調製した膜酵素画分に存在するUDP-Glucoseからセルロースへの変換活性への阻害活性を測定したところoxazolomycinには顕著な阻害活性が認められたのに対し,diacetateにはそのような阻害活性は認められなかった。
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