研究概要 |
食品素材中のタンパク質をアレルゲンとする食物アレルギー患者が増加の傾向にある。適当な治療法が確立されていない現状では、低アレルゲン食品の開発により患者の食生活を確保することが必要になる。1{目的}本研究は大豆を原料とする低アレルゲン加工食品の開発とその実用性を実際にアレルギー患者の協力のもと、評価判定を行うことを目的とした。2{結果}低アレルゲン化のターゲットとして、我々が既に同定している主要3アレルゲン(Gly m Bd 30K,28K,及びβ-conglycininのα-subunit)を目標にした。まずα-subunitを欠失した大豆品種、東北124を原料にして、納豆菌由来のプロテアーゼ処理により煮豆風大豆食品(試料1)を完成した。さらに、東北124より物理的方法でGly m Bd 28,30Kを除去した豆乳より、豆腐(試料2)を、豆乳をアスペルギルスプロテアーゼ処理した後多糖類で凝固させた豆腐風プリン(試料3)を完成した。試料1についてチャレンジテストを実施した。3{考察}試料1,2,3ともに食用としての嗜好性テストに合格した。1についてはチャレンジテストの結果、例数は少ないながらも、テストに協力された約80%の患者が有効であると回答した。これらを統計的に処理し、酵素処理煮豆風大豆についてはその有効性を確認した。他の試料2,3についても順次テストに入っている。また、天然の低アレルゲン大豆食品としてin vitroの検定で有効性を示唆した味噌についてもテストを実施している。
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