北海道網走管内に設定したイチイの試験地において植栽試験、発芽試験を継続するとともに、挿し木試験を行った。また、グロースチャンバー(植物育成装置)を用い環境による成分変化などの検討を行った。 さらに、Taxolの抽出等の工業的な生産システムに関する試験を行った。 1. イチイの採取及び立地条件等の環境因子による検討 (1) 年生の異なるイチイ苗木のタキソールの含有量との相関を調べたところ、年生の低い苗木のTaxol含有量が低い傾向がみられた。 (2) 苗木を用いグロースチャンバーにより温度を変化させ、タキソール等の増減を調べたところ、温度変化によりTaxolの生産に増減がみられた。 2. イチイの成分抽出・分析 (1) イチイ根部、樹皮部から数種類の化合物を単離精製し機器分析を行った。 (2) 高速溶媒抽出法等により抽出原料に適応した工業的な抽出法を検討を行った。溶剤によるTaxolの安定性について調べ効率の良い精製方法の検討を行った。 (3) 抽出原料の調整方法の検討を行ったところ、Taxolの抽出に適した簡易な調整方法の手法を開発した。 3. フィールド試験 (1) 挿し木の活着試験を行ったところ高い活着率を得え、簡易な苗木の大量生産方法について基礎的な知見が得られた。 (2) イチイの苗木活着試験、生長量試験を行った。(次年度も継続する。) (3) 発芽促進剤を用い発芽試験を行ったが、硬実であるイチイ種子では発芽促進剤の効果は見受けられなかった。(次年度も継続する。)
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