タキソールは卵巣ガン、肺ガン等に有効な天然物由来の抗ガン剤として大きな期待がされている。タキソールはイチイ属樹木に含まれており、我が国に生育するイチイにも含まれている。タキソールはその有効性により今後、需要が増加すると見込まれているが、その供給量は限られたものとなっている。 そこで、本研究は、我が国の森林資源を活用したタキソールの生産方法の確立に関する研究を行った。 これらの結果により、林業地域において、森林資源を用いてタキソールの生産を行うことは、十分に可能性があり、超短伐期集約栽培法によるイチイ苗木がタキソールの抽出原料として有望であると考えられる。日本に生育するイチイのタキソールの成分特性と抽出原料に適したタキソールの効率的な抽出方法に関して明らかにするとともに、森林資源を活用した林業経営的なタキソールの生産が可能であることを示唆した。
|