研究課題
基盤研究(B)
初年度は基礎的知見の集積を目的に、紫外線による海水の殺菌効果、海水をオゾン処理したときに生成するオキシダントおよび海水を電気分解したときに生じる塩素による海水の殺菌効果を検討し、種苗生産施設内での飼育用水あるいは飼育排水の殺菌効果を検討した。まず従来の低圧紫外線ランプと最近普及してきた中正紫外線ランプの殺菌効果を比較した。両ランプ共に紫外線照射線量を同一とした場合、同程度の殺菌あるいはウイルス不活化効果が得られ、中正紫外線ランプを用いて、飼育用海水を殺菌した場合、海水中の生菌数は99.99%以上減少した。次いで海水をオゾン処理し、その際に発生したオキシダントの殺菌およびウイルス不活化効果を検討した。オキシダント濃度0.5mg/lで1分間処理することにより、魚類病原細菌は99.9%以上殺菌され、ウイルスも99%以上不活化された。飼育海水をオゾン処理した場合、同上オキンダント濃度で5分間処理することにより、海水中の生菌数は99.9%以上減少した。さらに海水を電気分解した時に生じる塩素による殺菌効果およびウイルス不活化効果を検討した。塩素量は電流に比例して増加し、塩素量0.5mg/lで1分間処理することにより、魚類病原細菌およびウイルス共に99.9%以上殺菌あるいは不活化された、魚類飼育排水を電気分解処理したところ、塩素量0.1〜0.5mg/l、1分間の処理で生菌数は99%以上減少し、毎時400t程度の水の殺菌処理が可能となり、試験的な規模での排水の処理が可能となった。