種苗生産施設における用水および排水処理システムの開発

1999 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 09556041
• 研究機関: 北海道大学
• 研究代表者: 吉水 守 北海道大学, 水産学部, 教授 (40122915)
• 研究分担者: 上西 敏夫 荏原製作所, 企画開発部, 研究チームリーダー ; 沢辺 智雄 北海道大学, 水産学部, 助手 (30241376) ; 絵面 良男 北海道大学, 水産学部, 教授 (80001618) ; 渡辺 研一 日本栽培漁業協会, 厚岸事業場, 主任研究員 ; 三村 元 荏原実業株式会社, 水産技術研究所, 主任研究員
• キーワード: 種苗生産 / 飼育用水 / 殺菌 / 飼育排水 / 紫外線 / オゾン / 電解水 / 塩素

研究概要

今年度は過去2年間の成果をもとに、紫外線およびオゾン処理海水を用いて稚魚から成魚に至る期間ヒラメおよびマツカワを飼育した。生菌数を基にした殺菌効果の判定を行うと共に魚体への影響調査を実施した。さらにオゾン処理海水を用いて飼育したマツカワ稚魚の細菌叢を観察した。得られた成果は以下のとおりである。
1.紫外線処理飼育用水を用いた飼育試験:ヒラメを対象に中圧紫外線ランプにより殺菌処理(10^5μW・sec/cm^2)した海水を用いて飼育した。飼育用水中の生菌数は約4桁減少し、試験選定地で見られたスクーチカの寄生が抑えられ、歩留まりが向上した。対照群と成長に差は見られなかった。
2.オゾン処理飼育用水を用いた飼育試験:マツカワを対象にオゾン処理海水を用いて飼育した(TROs:0.5mg/l,5分間処理)。生菌数は3〜4桁減少し、病気の発生はなく、成長も良好であった。
3.上記オゾン処理海水を用いて飼育したマツカワ稚魚の細菌叢:飼育用水、飼育用生物餌料(ワムシ・アルテミア)および稚魚の体表・腸内容物の細菌叢は既報の正常魚の細菌叢に類似し、特別な変化は認められなかった。

研究成果

• [文献書誌] 伊藤 慎悟: "人工海水中における低濃度オキシダントの魚類病原微生物に対する殺菌不活化効果"日本水産学会誌. 63(1). 97-102 (1997)
• [文献書誌] 吉水 守: "オゾンによる養魚用水の殺菌(上)"養殖. 34(9). 76-79 (1997)
• [文献書誌] 吉水 守: "オゾンによる養魚用水の殺菌(下)"養殖. 34(10). 126-128 (1997)
• [文献書誌] 渡辺 研一: "海水のオゾン処理により生成されるオキシダントを用いた飼育用器具類および受精卵の消毒"魚痛研究. 33(3). 145-146 (1998)
• [文献書誌] Watanade, K.: "Control strategy for viral nervous necrosis of barfin flounder"Fish Fathology. 33(4). 445-446 (1998)
• [文献書誌] 吉水 守: "異体類のウィルス病対策"韓国魚病学会要録. 7-14 (1998)
• [文献書誌] Yosimizu, M.: "Control strategy for viral disease of flounder"The first seminar between Japan and Thailand in Fisheries Science. 31-38 (1998)
• [文献書誌] 吉水 守: "海水電解装置による飼育用水および排水の殺菌"第5回機能水シンポジウムプロミーディングス. 82-83 (1998)
• [文献書誌] 吉水 守: "魚類病原微生物の紫外線およびオゾン感受性"種苗期疾病対策シリーズNO.11. 1-16 (1998)
• [文献書誌] 吉水 守: "用水および排水の殺菌"月刊海洋. 号外14. 112-117 (1998)
• [文献書誌] 吉水 守: "飼育用水のオゾン殺菌法"日本水産学会誌. 65(6). 1110 (1999)
• [文献書誌] 吉水 守: "オゾンによる飼育用水の殺菌法-特に海水への応用-"第2回機能水シンポジウム(北海道大学)プロミーディングス. 5-13 (1999)
• [文献書誌] 吉水 守: "ワクチン投与までの防疫対策"アクアネット. 2(5). 26-29 (1999)
• [文献書誌] 渡辺 研一: "オゾン処理海水で飼育したマツカワ稚魚の細菌叢"北大水産魚報. 51(1). 63-69 (2000)