研究分担者 |
上西 敏夫 (株)荏原製作所, エンジニアリング事業本部, 部長
澤辺 智雄 北海道大学, 水産科学研究科, 助手 (30241376)
絵面 良男 北海道大学, 水産科学研究科, 教授 (80001618)
渡辺 研一 日本栽培漁業協会, 厚岸事業場, 主任研究員
三村 元 荏原実業(株), 水産技術研究所, 所長
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研究概要 |
最終年度は、海水電気分解装置の殺菌効果を、紫外線・オゾンによる殺菌効果と比較検討した。 1.魚類病原細菌あるいはウイルスを懸濁した3%食塩水を電気分解し、生成した次亜塩素酸による殺菌・不活化効果を検討すると共に飼育用水の殺菌効果も検討した。次亜塩素酸濃度0.07〜0.14mg/L、1分間の処理で供試細菌が99.9%以上,0.49〜0.58mg/L、1分間の処理で供試ウイルスが99.99%以上不活化され、市販の次亜塩素酸より高い殺菌効果を示した。試薬特級NaClを電解した場合、最も殺菌効果が高かった。 2.日本栽培漁業協会厚岸事業場の飼育用濾過海水を電気分解した場合、生成次亜塩素酸濃度が1mg/L、1分間の処理で99.99%以上の殺菌効果が得られた。また、飼育排水を電気分解した場合、生成次亜塩素酸濃度が0.60mg/Lのときに99%,1.28mg/Lでは99.9%以上の殺菌率が得られた。同時に紫外線殺菌装置(1.0×10^5μW・sec/cm^2)とオゾン殺菌装置(TROs 0.5mg/L,1min)の殺菌率を測定したが、ともに99.99%であった。排水の一部2.0m^3/hを電気分解処理し,残りの16.5m^3/hの排水と混合処理した場合,有効塩素濃度0.5mg/L以上,1分間の処理で99%以上の殺菌率が得られた。 3.海水を電気分解して得られる次亜塩素酸を含む電解海水の,飼育器具類に対する消毒効果を調査した。ホース,バケツおよび長靴では、0.5mg/Lの次亜塩素酸を含む電解海水に30分間浸漬することにより生菌数は99.9%以上減少し十分な消毒効果が認められた。タモ網,注水ネットおよびキャンバス地では、同等の効果を得るのに120分間を要した。 4.バッチ式海水電解装置の魚類病原細菌あるいはウイルスの殺菌・不活化効果を検討した。同時に飼育用水ならびに飼育排水の殺菌効果も検討した。次亜塩素酸濃度0.47〜0.62mg/L、3分間の処理で供試細菌が99.9%以上、0.23〜0.42mg/L、1分間の処理で供試ウイルスが99%以上不活化された。飼育用濾過海水については0.54mg/L、1分間の処理で99%以上,飼育排水についても0.64mg/L、5分間の処理で99%以上の殺菌効果が得られた。流水式海水電解装置との比較試験により、両装置はほぼ同等の殺菌能力を有すことが明らかになった。
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