研究課題
基盤研究(B)
本研究は、種苗生産施設における飼育用水および飼育排水の効果的殺菌法を開発することを目的とした。特に飼育排水は量が多く、申請時の殺菌法では技術的にもコスト的にも不可能であった。まず飼育用水を対象に低圧および中圧紫外線ランプによる殺菌効果を、次いでオゾン処理による海水の殺菌効果を検討した。飼育排水については紫外線およびオゾン処理に加え、海水を電気分解して得られる次亜塩素酸を用いた殺菌法を検討した。得られた成果は以下のとおりである。1.魚類病原微生物は紫外線感受性から2グループに分けられ、市販の殺菌灯の線量(10^4μW・sec/cm^2)で殺菌されるグループと、中圧ランプ(10^5μW・sec/cm^2)を要するグループに分けられた。2.オゾン殺菌の場合も上記同様、病原体の感受性が異なった。オゾンあるいはオキシダント量で0.5mg/L、1分間の処理で十分な殺菌効果が得られた。淡水では瀑気処理によりオゾンを除去できたが、海水では生成されるオキシダントが魚毒性を示すため、飼育用水として使用するには活性炭等により除去する必要であった。そのまま使用すれば、消毒薬としての利用が可能であった。3.海水をはじめ食塩溶液を電気分解すると、次亜塩素酸が生成され、殺菌効果が認められた。0.5〜1.0mg/Lで1分間処理すれば飼育排水の殺菌が可能であった。本装置は構造が簡単で、残留塩素の処理法を解決すれば、大量の水を殺菌することができ、有機物除去装置との併用で、一般飼育排水の殺菌が可能となった。これらの成果を総合し、種苗生産施設の飼育用水および飼育排水の殺菌に適した殺菌法と殺菌装置を選択し、殺菌処理システムの開発を行った。現在、いくつかの施設では良好な成績が得られている。
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