研究課題/領域番号 |
09556045
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐藤 実 東北大学, 農学部, 助教授 (70050680)
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研究分担者 |
川端 荘平 東北電子産業(株), 研究開発部, 部長(研究職)
坊之下 雅夫 日本分光(株), LC応用技術課, 課長代理(研究職)
熊谷 勉 東北大学, 理学部, 助教授 (60091683)
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キーワード | ヒスタミン / ジアゾカップリング反応 / 定量 / HPLC / ろ紙電気泳動 / 高感度検出 / 迅速定量 / 開発 |
研究概要 |
水産食品のアレルギー中毒原因物質としての他に、ヒスタミンはヒトで胃酸の分泌促進、血小板凝集、血管収縮、細胞の分化増殖促進作用、免疫調節作用など動物の平滑筋の収縮作用、胃酸の分泌促進作用など種々の生理活性作用を有することで知られている。ヒスタミンの定量法として比色法、蛍光光度法、HPLC法など種々の方法があるが、生体試料の分析には妨害物質の除去など煩雑な前処理が必要とされるなど問題点が多い。このように、ヒスタミンの強力な生理活性作用に鑑み、より簡便で高感度な定量法が各方面で今なお求められている。本研究は、より簡便、迅速で高感度なヒスタミン分析法の開発を目指すものである。 申請者らは先にジアゾカップリング誘導体化とHPLCによる分離定量法を開発したが、この方法は煩雑な前処理を無くしたヒスタミンのワンステップ簡便定量法である。本年度は本法の改良による高感度化を試みるとともに、ろ紙電気泳動法によるより簡便な定量法を検討した。ジアゾカップリング誘導体化はスルファニル酸を用いる従来の方法を継承し、HPLCによる分離条件のうちカラム、溶出液のpH、イオンペア試薬および検出波長などについて種々検討を加えた。その結果、ヒスタミンの検出限界は5pmolまで向上した。ろ紙電気泳動法による簡易定量法は以下の通りである。試料をスポットしたろ紙(ADVANTEC、No50)を酢酸・ピリジン緩衝液(pH3.7)で、800V、15min電気泳動する。ろ紙を乾燥し、ジアゾ発色試薬を噴霧しヒスタミンを発色させる。呈色度をCCDカメラを用いるデンシトメーターで計測し、ヒスタミンを定量する。この方法でヒスタミンはヒスチジンおよびカルノシンと良く分離し、150pmol(16.65ng)〜50,000pmol(5.55μg)の範囲で定量可能であった。この方法は、精度はHPLC法に比べて劣るものの、多数の試料を迅速、簡便に定量できる点で優れており、現場対応型の簡便定量法といえる。
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