研究概要 |
海産緑藻の主要揮発成分が、C_<17>-モノ、ジ、トリ-エナールなど長鎖アルデヒド類で、これらは、相当する不飽和脂肪酸のα-酸化によって生合成されることを提唱している。ここでは、世界の沿岸に普遍的に成育しているアオサに着目し、その精油香気特性へのα-酸化サイクルの寄与を明らかにするとともに、これら生成物の海浜アメニティとの関連を検討するために、これらアルデヒド類及び関連化合物の官能評価を行った。 C_<16〜18>-不飽和アルデヒド及び相当するアルコール類を有機合成し、高純度に精製後に、それらの官能評価を5名の調香師により行った。その結果、アナアオサをSDE法によって調製した精油香気特性には、(8Z,11Z,14Z)-ヘプタデカトリエナール、(8Z,11Z)-ヘプタデカジエナールなどとともに、特にα-酸化が2サイクル進行して生成したと考えられる(6Z,9Z,12Z)-ヘキサデカトリエナールの寄与が大きいことが明らかになった。これら化合物は、海藻や海産物を想起する海洋系香気特性を有し、アメニティ機能とともに食品フレーバーなどへの応用的観点からも興味深いことが確認された。
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