研究概要 |
1.この研究は,農作業ロボットの視覚部として,ビデオカメラに代わって三次元視覚センサを用いて作物を認識しようとするものである。 2.発光ダイオードからスポット光を照射して,作物からの反射光をレンズでPSD(位置検出素子)で受けて光電変換を行い,スポット光を機械的に走査することにより三次元形状を計測する三次元視覚センサを試作した。この三次元視覚センサは,赤色と近赤外の発光ダイオードを使用し,対象物と背景の分光反射特性の違いから赤と近赤外の受光電圧の大きさが違うことを利用して,対象物と背景の識別を行う機能も持っている。この三次元視覚センサは,マニピュレータに取り付けることができるよう小型とし,マニピュレータの動きも利用して走査するようにした。 3.ミニトマトを走査する実験を行った結果,センサから近い対象物の三次元形状を計測できること,分光反射特性の違いから赤熟果実を茎や葉と区別できることがわかった。またマニピュレータに取り付けることにより,いろいろな位置と方向から走査することが可能で,一部が茎葉に隠れた果実でも見やすい方から走査することで認識しやすいと考えられた。なお,発光ダイオードのスポット光は径がやや大きいので遠距離にある細い果梗などを計測しにくい。このため,レーザ光を用いて細いスポット光を投光する三次元視覚センサも試作中である。 4.近赤外のレーザ光を走査して,結球レタスの三次元形状を計測し,収穫適期のレタスを認識する実験も行った。走査はレタスの上方から行い,100×100画素の三次元画像から認識を試みた。認識方法は,遺伝的アルゴリズムを用いて画像を前処理したあと高さによる2値化を行い,2値画像処理により位置と大きさを認識するものである。太陽光などの外乱光の影響を受けずに三次元形状を計測することができ,まれに誤認識することもあったが結球部を認識できることがわかった。
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