研究概要 |
1.この研究は,農作業ロボットの視覚部として,三次元視覚センサを用いて作物を認識しようとするものである。今年度は,主にキュウリ果実の適期収穫のための認識について研究を行った。キュウリ果実は,大きな葉に隠れて見えないことが多く,栽培様式によっては視覚認識及び収穫動作の障害となる。 2.このため,ロボット収穫に適した栽培様式として,傾斜棚栽培とつる下げ栽培を試み,果実がロボット側からどの程度見えるかの調査を行った。傾斜棚栽培は,支柱を鉛直から畝溝側に30°傾け,親づるを支柱に誘引する方法と,同様に30°傾けた支柱にネットを張って誘引する方法を試みた。つる下げ栽培は,畝上のパイプから誘引ひもを垂らして親づるを鉛直面上で45°傾けて誘引する方法をとった。傾斜棚栽培は摘心栽培とし,子づる,孫づるにも結実させた。つる下げ栽培では,親づるに結実させ,つるが生長すると上部のパイプを回転させることでつる下ろしを行った。 3.傾斜棚栽培は,子づる,孫づるにも結実させたためつる下げ栽培より期間収量が多かった。一方,つる下げ栽培は,ほとんどの果実がロボット側から見え,視認性が良かった。つる下げ栽培は長期栽培が可能であり,ロボットの有効利用の上からも適していると考えられた。 4.以上の栽培実験結果をもとに,つる下げ栽培のキュウリを対象にした三次元視覚センサを試作し,認識実験を行った。試作した三次元視覚センサは,近赤外レーザビームをミラーを用いて走査するもので,画素数は,60×125である。得られた三次元画像を処理した結果,果実と果柄,その他の茎葉等を分離して認識でき,認識結果から果実と果柄の三次元位置を計算することが可能であった。また,果実上下端の三次元位置から果実の長さを計算することも可能で,サイズによる適期収穫も可能と考えられた。
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