平成9年度は乳腺細胞の単離及び培養法の検討を行った。 1.ウシ乳腺細胞の単離・培養 妊娠26日及び270日のホルスタイン種から、乳腺細胞を単離した。すなわち、乳腺より約2センチ角の組織を数個取り出し、培地で洗浄した後、ハサミを用いて細切し、4mg/ml typeII collagenで組織を消化した。250μmのメッシュを通して未消化の組織を除き、培地にて2回洗浄した。チュルク液を用いて細胞核数を計数した後、10%FCSを含むDMEにて培養した。細胞の多くは上皮細胞に特有な敷石状構造とり、コロニーを形成していた。乳腺細胞の確認は、サイトケラチン染色により行った。敷石状の細胞は乳腺上皮細胞であることが確認された。 2.乳腺細胞のクローニング 乳腺細胞をlimitting dilution法によりクローニングした結果、それぞれ4および3個のクローンが得られた。妊娠26日の乳牛から得られた細胞のクローンは30代以上培養しても増殖性を維持していた。妊娠270日のクローンは約10代で増殖性が低下した。 平成10年度はこれらの乳腺細胞の増殖性及び増殖性、乳タンパク合成能に及ぼすホルモン等の影響について検討する予定である。
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