研究課題
コンピューターとカメラを利用したモーションキャプチャーによる運動解析法はさまざまな観点から馬体の揺れの傾向を探る上で有用である。今年度は、馬の歩行速度、騎乗者の有無による馬体の揺れの相違を中心に検討した(実験1)。また、健常小児(女子6歳)および下肢不自由小児(女子6歳)における騎乗前後の心拍変動、呼吸変動、膝関節角度の変化を調べた(実験2)。実験1ではアングロアラブ成馬(体高157cm)1頭を用い、実験2ではニュージーランドポニー(体高134cm)、クォーターホース(体高148cm)をそれぞれ1頭用いた。実験1:常歩においては歩行速度と歩幅との間には正の相関が見られた。寛結節(腰角)上に貼ったマーカーの軌跡から歩行時の上下の揺れを観察するとスイング期には平均41mm揺れが、続いてスタンス期には59mmの揺れが生じたが、これらの同様は常歩の速度によっては影響を受けず、騎乗者の存在によって小さくなる傾向がみられた。またスイング期とスタンス期の時間百分率は、走行速度に関係なくほぼ2:3であった。実験2:健常者および下肢不自由者(左下肢の軽度麻痺)においても、騎乗前の安静時心拍数は96、呼吸数は24〜30を示した。常歩および速歩を行うと、心拍数は健常者でそれぞれ96、102を、また障害者では108、102であり、騎乗前の安静時に比べて軽微な増加を示すに留まった。一方、呼吸数は両者とも26〜30であり、この場合も安静時にくらべて明瞭な変化が認められなかった。これらの反応は成人の場合とはかなり異なっていた。
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