研究課題
基盤研究(B)
障害者乗馬にかかわる基礎的な研究を行う目的で、平成9年度より11年度にかけて、ウマの歩行時の馬体各部位および騎乗者の揺れに関する画像解析、ならびに騎乗者(健康成人男女、健康児童、下肢麻痺児童)の心拍、呼吸などの生理的反応を記録、解析した.供試馬の条件としては雑種ポニー(体高113cm)、木曽馬〈126cm)、御崎馬(138cm)、半血(152cm)、トロッター(153cm)、サラブレッド2頭(170cm,166cm)、アングロアラブ(157cm)、クリオージョ(138cm)、ニュージーランドポニー(134cm)、クォーターホース〈148cm)であった。また、ウマの歩様条件としては、常歩、速歩、駆足とした。また、騎乗者の有無、鞍の有無による馬体の揺れを検討した。さらに、路面がアスファルトで硬い場合とウッドチップによる柔らかい場合とで、揺れを同様に比較した。その結果、ウマの体型と上下の揺れとの関係では、頚長、体高が大で、桐が細く、体長が小であるウマは揺れが大きいことがわかった。この傾向は路面が硬い場合でより明瞭に示された。騎乗者の揺れはウマのき甲部の揺れにもっとも近い振幅と位相を示した。馬体の揺れは基本的には後肢の運動に大きく影響されており、スタンス期(着地期)で大きく、スイング期(離地期)で小さく揺れることを繰り返し、この揺れが左右で交互に起こることが示された。馬体の揺れは騎乗者がいる方が小さく、また歩度が詰まる傾向が示された。騎乗者は上下の振動に加えて、左右、前後の揺れを受けながらも頭部の位置は最小限にとどまった。騎乗者の心拍数および呼吸数は、常歩から速歩、駆歩になるにしたっがて明瞭に増加した。引きウマで騎乗者が手綱を操作しない場合でも明瞭な生理反応がみられ、乗馬は運動負荷量がかなり大きいことが明らかになった。また、成人と児童とでは生理反応に差が認められた。これらの知見は乗馬による健康影響を考える上で貴重な基礎的資料になると思われた。
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