研究課題/領域番号 |
09556063
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
矢野 史子 近畿大学, 生物理工学部, 助教授 (30101249)
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研究分担者 |
増子 孝則 明治飼糧(株), 開発部, 研究員
大石 武士 近畿大学, 農学部, 助教授 (00088189)
松井 徹 京都大学, 農学部, 助教授 (40181680)
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キーワード | 反芻家畜 / リン / ルーメンバイパス処理 / フィチン態リン / 十二指腸カニューラ / 乳清 / 環境 |
研究概要 |
第一試験として加熱処理をしたナタネ粕中フィチン態リンの分解に加熱処理が及ぼす影響を十二指腸カニューラを装着した雌メンヨウ4頭を用いて検討した。メンヨウに無処理または加熱処理をしたナタネ粕を10%含む飼料を給与し、十二指腸内容物を採取した。十二指腸におけるフィチン態リン流量は無処理区と比べて133℃処理、143℃処理区において各々1.65倍、2.42倍増加した。また一日当たりの流量は無処理、133℃処理、143℃処理区においてそれぞれ飼料中フィチン態リンの約21%、35%、55%に相当した。無処理および133℃処理区では飼料給与3時間後のフィチン態リンの流量は一時的に増加してその後減少したが、143℃度処理区は常に高い濃度を維持した。これらの結果から、ナタネ粕中のフィチン酸の一部は分解されずに十二指腸に到達すること、加熱処理はその量を増加することが明らかとなり、加熱処理はナタネ粕中リンの利用性を低下させることが示された。 第二試験では乳牛のリン源として乳清の利用を試みた。9頭のホルスタイン種泌乳牛を乳期ならびに乳量が同程度となるように一群4頭または5頭の2群に分け、各期2週間からなる反復試験に割り当てた。乳清区には乾燥乳清を飼料の20%添加し、無機リンの補給は行わなかった。対照区の飼料にはリン含量を一定とするためにリン源としてリン酸カルシウムを添加した。乳量や血清中無機リン濃度は両区の間に有意な差は認められなかった。 以上の結果から、乳清はリン源としてリン酸カルシウムと同程度の利用性を有することが示唆された。
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