研究課題/領域番号 |
09556068
|
研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
岩崎 利郎 岐阜大学, 農学部, 教授 (50262754)
|
研究分担者 |
堀内 正 第一製薬, 創薬基盤研究所, 所長(研究職)
志水 泰武 岐阜大学, 農学部, 助教授 (40243802)
天谷 雅行 慶応大学, 医学部, 講師 (90212563)
|
キーワード | 犬 / 自己免疫疾患 / 天疱瘡 / デスモソーム / デスモグレイン |
研究概要 |
落葉状天疱瘡の犬のうち、血清を用いた間接蛍光抗体法で陽性を示した症例の抗体価を臨床症状の重症度と比較したところ、両者の相関が認められる症例もあったため、犬の天疱瘡の自己抗体は、症状の重症度と関連しているものと考えられた。落葉状天疱瘡の犬16頭の血清についてウエスタンブロットをおこなったところ、160kDaのデスモグレイン1(dsg1)を認識したが、130kDaのデスモグレイン3(dsg3)は認識しなかった。このことから、犬とヒトの落葉状天疱瘡は同一抗原を認識する可能性が強いことがわかった。また、天疱瘡の犬にUVBを照射したところ、正常皮膚に顕微鏡的に棘融解細胞が出現したが、UVAを照射照射しても変化はなかった。 また、正常皮膚を落葉状天疱瘡血清と器官培養し、UVBを照射すると棘融解は増悪した。 したがって犬の落葉状天疱瘡の症状は紫外線の照射によって、増悪するものと思われた。 犬およびヒトの皮膚と粘膜を抗dsg1および抗dsg3抗体で反応させ、dsg1は主に皮膚に、dsg3は主に粘膜に分布するため、落葉状天疱瘡は皮膚病変が主体であり、一方、尋常性天疱瘡は粘膜に主に出現することが明らかとなった。また、培養したB細胞に抗原を反応させ、少量の抗体産生が検出可能であるELISPOT法を、天疱瘡抗体産生B細胞の検出に応用した。 以上の研究から、犬の天疱瘡はヒトのそれと非常に近似であり、ヒトのモデルになりうること、抗体産生細胞の定量化を明らかにした。
|