研究概要 |
脂肪細胞や筋肉細胞ではインスリン刺激によって細胞内の小胞プールに存在する糖輸送体GLUT4は,エクソサイトシスにより細胞内表面へと移行し(トランスロケーション),インスリン依存症の糖の取り込みに主要な役割を果たしている.この細胞内プールの実体について,形態学レベルでの解析はあまり進んでいない.そこで3T3-L1培養脂肪細胞を用い,細胞内オルガネラのマーカーであるカテプシンD,lgp,TGN38,Golgi-58k,EEA1,細胞内酸性コンパートメントのマーカーであるDAMP,トレーサーとして蛍光標識デキストランやトランスフェリン,細胞表面のビオチン化などを用いてGLUT4の細胞内での動態と,これらのオルガネラマーカーとの関係を解析した.その結果GLUT4はかなりの部分がTGN38やGolgi-58k陽性のゴルジ/TGNコンパートメントにあるのが判明した.さらにGLUT4の動態をリアルタイムで観察するために,グリーンフルオレッセントプロテイン(GPG)との融合蛋白をコードするコンストラクトを作った.3T3-L1細胞で発現させるためにミクロインジェクションの条件を検討している.エッペンドルフミクロインジェクション装置を用いてまずLucifer yellowをマーカーとして3T3線継芽細胞への遺伝子導入の手技を確立した.ついでGFP遺伝子を導入し,注入量,発現率,タイムコースを検討した.さらに3T3-L1細胞を脂肪細胞への分化させたものについて同様にミクロインジェクションをおこなった.多量の脂肪滴を含有し,基室から剥離しやすい性質もあり,線継芽細胞に比べて困難であったが,まずLucifer yellowやGFPのミクロインジェクションによって手技の向上と導入条件を検討中である.
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