研究概要 |
インスリン刺激時における脂肪細胞の糖輸送能上昇は,膜蛋白質である糖輸送体GLUT4を有する細胞質中の小胞が細胞膜に融合し,細胞表面の糖輸送体数を増加させることによっておこっている(糖輸送体のトランスロケーションモデル).この過程を詳細に検討するためにグリーンフルオレッセントプロテイン(GFP)標識法を適用し,生きた細胞でのタイムラプス観察を試みた.まずGFPとGLUT4との融合蛋白の各種コンストラストを作製し,Cos7細胞に導入発現させ,核周囲部に局在するものを選択した.これを3T3-L1線継芽細胞に導入したあと,脂肪細胞へと誘導分化させた.GLUT4のC末に対する抗体は内在性GLUT4の他にも今回用いたGFP-GLUT4も認識した.GFP-GLUT4発現細胞で,GFPシグナルと抗GLUT4抗体によるシグナルを比較検討したところ,GFPシグナルの強い部位で相対的にGLUT4抗体によるシグナルの弱くなるという,抗体のアクセシビリティーに起因すると思われる傾向はあったが,基本的な局在は同一であった.そこでGFP-GLUT4を発現した3T3-L1脂肪細胞をカバースリップ上に培養し,正立顕微鏡下にセットしインスリン刺激時における動態のタイムラプス観察をおこなった.GFP-GLUT4の細胞膜への移行が観察されたが,大部分のものは細胞質中に残っているように見えた.
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