当研究に用いる遺伝子導入装置を検討した。遺伝子銃(バイオラッド社)と細胞融合遺伝子導入装置(BTX社)を比較した。この研究計画は遺伝子銃を用いて実験を進めるよう計画したので、見学に行った。機械本体の取扱いはそれほど難しくはなかったが、DNAを金コロイドにコーティングするところにやや繊細さが要求される。金コロイドの発射に高価なヘリウムガスを使用すること、また発射時の音が大きいことや欠点も多いことがわかった。さらに金コロイドでは植物のような細胞膜の堅いものに対しては貫通力があり、組織の奥まで届くが、動物胚のような柔らかいものには金がバウンドしてしまいあまり組織の深部まで届かないことが示唆され、当研究には向いていないことが分かった。 細胞融合遺伝子導入装置は電気パルスにより細胞に瞬間的に穴を明け、DNAを取り込ませる装置である。こちらはそれほど技術的な難しさはなく、取扱いも簡単であった。遺伝子銃のような音もしないし、ヘリウムガスも必要ない。電極の露出部分をを短くすることでDNAの導入部分を小さく制限することが可能であり、胚の微小部分へDNAを導入するのに適しているとが分かった。既に動物胚にDNA取りこませ、強制発現させた報告があり評価の定まった機械あることが分かった。この遺伝子導入装置によりニワトリ胚にLacZ遺伝子および心筋のトロポニンIを強制発現用プラスミッドを導入した。トロポニンIは背部と肢芽の表皮に発現していることが示唆された。脳にも強く染まった部分があり、発現しているのかもしれない。さらに強力に発現するベクターを導入時期を変えて試みてみたい。
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