研究概要 |
リポフェクトアミン法によりニワトリ胚にDNAを導入する方法を試みた。DNAとしてlacZ遺伝子の組み込まれたpmiwZをリポフェクトアミンと混合し、心筋と膜の間に注入した。しかし3日後には全ての胚が死亡してしまった。リポフェクトアミンは幼若な細胞には高い毒性があることがわかった。 次に電気穿孔法によりDNAをニワトリ胚に導入した。電気パルスの電圧の高さ、長さ、間隔、回数がどのくらいの時に最も良い効率が得られるかを検討したところ25V,50msec,8回のパルスを加えた時にDNAの入っていることが多かった。しかし効率は良くなかった。電極が関係しているのかもしれない。われわれはニワトリ胚の心臓にDNAを導入する事を考えているので縫い針を電極にし、これを上から心臓を挟むようにしている。この電極は胚と電極が垂直になり、このような空間的関係が影響するのかもしれない。今後は胚と電極が平行になるようにし、電極の形状、太さ、露出部分、電極の間隔等を工夫し、効率を上げたいと考えている。 DNAはpmiwzを使用している。このDNAは導入後、固定と発色に2-3日かかる。早く結果を見たいのでDNAをpGFP系の物に換えた。pGFPは発光くらげの遺伝子を組み込んだ発現ベクターであり、DNAが細胞に導入されると約1日後に、蛍光顕微鏡下で緑色の蛍光を発する。実験結果の確認期間の短縮に大いに役立っている。ただしこの蛍光はやがて減衰してしまうので、詳しい観察にはpmiwzを用い、この2種類の発現ベクターで初期的研究を続けたい。もし電気穿孔法でも効率が悪い場合は胚の心臓に直接DNAを注入することも考えたい。
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