電気穿孔法によりDNAをニワトリ胚に導入する試みを続けている。これまでの成果をまとめると、ニワトリ胚にDNAの入っている確率の多い条件は、電気パルスの電圧の高さ、長さ、間隔、回数がそれぞれ25V、50msec、8回の時である。電極は様々な形、材質を検討したが、線状の電極が最適であった。先端が金、露出部分は5mm程度、太さは1mm、電極の間隔は8mmである。57例、生存45、導入確認18であった。成功例の内、特に72時間胚では効率よく、8例中導入されたのは4体であった。導入部分は肢芽、及び腹部であった。この方法により直径約5mm程度の円の範囲で、深さ約2mmの部分にDNAを導入できることは確認できた。しかし心臓には導入できなかった。DNAはpmiwZおよびpGFP系の両プラスミッドで同様に導入することができ、DNAの差は少ないことが分かった。実験に使用した5-20mm程度のニワトリ胚では、なかなか導入部分を限定できなかったがもっと大きな胚、成体には相対的にDNA導入部分は小さくなり、目的の場所に導入できるのではないかと思われる。心臓のように血流のあるところでは磁場が発生するせいのか決定的な成功例は確認できなかった。心臓の外膜に導入できたのが1例あった。今後電気穿孔法による遺伝子導入を継続すると共に、レトロウイルスによるDNA導入も試みて行きたい。
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