研究課題/領域番号 |
09557007
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
高木 厚司 九州大学, 医学部, 助手 (30243934)
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研究分担者 |
岡 孝和 九州大学, 医学部, 助手 (60291514)
塩田 清二 昭和大学, 医学部, 助教授 (80102375)
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キーワード | 生体内窒素酸化物 / 脳・腸・肝・免疫系連関 / 腸管由来エンドトキシン / Bacterial translocation / ストレス / クッパー細胞 / 腸内細菌 / マイクロダイアリシス |
研究概要 |
本研究の目指すところは、非炎症性ストレス時の生体内窒素酸化物の産生源の同定とその産生メカニズムの検討である。我々はこれまでに、(1)拘束ラットで、肛門脈血中のLPS濃度が静脈血よりも大きく増えること、(2)Polymyxine BなどでLPS活性を生体内で中和してやると拘束ストレス時の末梢血IL-6増加反応が消失すること、等を明らかにしてきており、非炎症性ストレス時の末梢臓器におけるNO産生に腸管由来のLPSが重要な働きをしている事が予測されている。そこで初年度である本年は、(1)窒素酸化物(NOx)測定システムの確立と、(2)肝におけるNOの産生・遊離に腸管由来LPSが引き金となっている可能性を検討した。その結果、(i)覚醒ラット肝実質のマイクロダイアリシスの潅流派にてNO2及びNO3が検出可能であること、(ii)LPSの静脈投与90分以後より有意に潅流液中のNOx濃度が上昇することが分かった。さらに、(i)回腸にカテーテルを慢性留置したラットを用い、FITCでラベルしたLPS(1mg/5ml)を回腸内へ注入し、1時間の拘束ストレスを加えると、肝臓クッパー細胞及び類洞内皮細胞にFITCが取り込まれ、蛍光強度は非ストレスラットのそれの5.8倍となること、また、(ii)FITC陽性細胞の約80%は抗IL-6抗体で染色されること、(iii)拘束ストレスにより、競合的RT-PCRでみたIL-6mRNAが肝臓で増え、脾臓では変化しないこと、(iv)フットショックやケージ交換ストレスにより肛門脈血IL-6が増加し、その反応もLPSの生物活性の中和により消失すること、等を見出した。以上より、LPSが肝におけるNOの産生・遊離に重要な役割を果たしていることが明らかとなったが、これが、非炎症ストレス時における末梢NO産生の主たる機序か否かは次年度以降の研究結果を待たなくてはならない。
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