研究課題/領域番号 |
09557013
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研究機関 | (財)大阪バイオサイエンス研究所 |
研究代表者 |
渡辺 恭良 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 第3研究部, 研究部長 (40144399)
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研究分担者 |
大石 登 浜松ホトニクス株式会社, 電子管第一事業部・第22部門, 専任部員
廣畑 徹 浜松ホトニクス株式会社, 中央研究所・材料研究室, 部員
新垣 実 浜松ホトニクス株式会社, 中央研究所・材料研究室, 専任部員
片岡 洋祐 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 第3研究部, 研究員 (40291033)
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キーワード | 中枢神経活動 / 極微弱発光 / 光電子増倍管 / 小脳顆粒細胞 / 膜脱分極 / テトロドトキシン / 細胞内生化学反応 |
研究概要 |
中枢神経活動をリアルタイムにかつ無侵襲的に観察することを目的として、活動中の神経細胞が極微弱ではあるが光子を放出するかどうか、可視光域の光子検出において最も感度の優れた光電子増倍管を用いてその検出を試みた。光子の放出は生きた細胞内で引き起こされるさまざまな生化学反応に由来するものと想定して実験を開始した。ラット小脳の顆粒細胞を培養した直径4cmのシャーレに、ほぼ完全に近い暗室中で光電子増倍管を接近させて極微弱発光の検出を試みたところ、細胞外液への50mMカリウムイオン添加による顆粒細胞膜電位の脱分極刺激(-30mV)に相関した約5cps(counts/second)の発光を検出した。この発光は膜の脱分極刺激の間持続し、その後の細胞外からのカリウムイオンの除去により速やかに消失した。また、通常の組織外液中にテトロドトキシンを投与したところ、約5cps分の発光量の減少が観察され、その後の薬物除去により発光量は速やかに回復した。これらの発光量の変化はカルシウムイオンを除いた細胞外液中では観察されなかったことから、神経活動に相関した極微弱発光であると考えられた。これらの発光の由来となる細胞内生化学反応を同定するためフィルターを用いて極微弱発光光子の波長解析を行ったところ、その多くが400-500nmの波長を有することがわかった。来年度は、この研究をさらに押し進めて発光波長の同定と由来する生化学反応を追求する。また、さらに光子の検出域を近赤外領域まで広げて神経活動に相関した発光検出量の増加を図り、内因性極微弱発光の検出が神経科学分野における新しい研究法となりうるかどうか探っていきたい。
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