研究概要 |
我々が開発した抗BR単クローン抗体(24G7)は、現在ではビリルビンの酸化生成物(biopyrrin)を特異的かつ高感度に検出できる唯一の手段であります。この24G7を用いたELISA法により、その病態発現に活性酸素が関与していると考えられる疾患の患者及びモデル疾患動物、例えば、NODマウス(自然発症糖尿病モデル)の尿中にこのbiopyrrinの増加が観察されている(堀尾ら、Diabetologia 1994)。さらに、器質異常による疾患のみならず、強い心理的ダメ-ジを受けた直後の個人の尿中にbiopyrrinが健常人の4〜10倍増加しており(山口等、Eur.J.Biochem.1997)、同時に8-ヒドロキシグアニンの上昇が見られることにより、体内に酸化的ストレスが負荷されたことがわかっている。活性酸素の関与した疾患や心理的ストレスにおいて、発生する酸素ラジカル(-02-,・OH,H202,^102,NO)のパターンが異なっていることが推定されるため、現在、各種病態の尿中のbiopyrrinの構造同定と定量を行っており、このbiopyrrinの分子種による心理ストレスを含めた各種疾患の「ストレス分子(biopyrrin)プロファイリング」を作成する予定である。最終的には個人の日常の健康管理のための市販可能なストレスチェッカー(ストレス診断薬)を実用化させたい。
|