研究課題/領域番号 |
09557016
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
村松 喬 名古屋大学, 医学部, 教授 (00030891)
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研究分担者 |
佐久間 貞俊 明治乳業細胞工学センター, 所長
黒澤 信幸 名古屋大学, 医学部, 助手 (50241253)
村松 寿子 名古屋大学, 医学部, 助手 (50182134)
門松 健治 名古屋大学, 医学部, 助教授 (80204519)
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キーワード | ミッドカイン / ヘパリン / リンパ節転移 / 肺癌 / 腎透析 / 成長因子 |
研究概要 |
ミッドカインはヘパリン結合性の成長分化因子で神経組織の発生分化に関与すると共に多くのヒト癌で発現が増大している。ヒトの癌で、N末端側のドメインを欠失した短縮ミッドカイン(tMK)mRNAが検出されている。今回、47例のヒト消化器癌で検討したところ過半数(12/16の胃癌、8/13の大腸癌、5/9の肝臓、2/2の食道癌)のケースで、tMKmRNAが癌部で検出された。しかし、非癌部では、tMKmRNAはまったく検出されなかった。また14例のリンパ節転移部では全例に於てtMKmRNAが検出され、3例の肝転移部では1例もtMKmRNAが検出されなかった。これらの結果は、tMKmRNAがリンパ節転移の診断マーカーとなることを示している。また、ヒトのアストロサイトーマで、ミッドカインの高発現は予後の悪さと相関した。高感度EIAで血清中のミッドカイン値を測定すると、多くの癌患者に於てミッドカイン値が上昇していた。ことに肺癌患者でその傾向が顕著であった。また、大腸癌患者では、癌の浸潤度とミッドカイン値の上昇の間に関連があった。腎透析の患者では透析の開始と共にミッドカインの値が急上昇してその後ゆるやかに低下した。ミッドカイン値の上昇は透析の際にヘパリンを使用することによるが、正常人にヘパリン投与すると、ミッドカイン値は急上昇の後、急低下した。腎透析患者の血液中の高ミッドカイン状態は透析の副作用と関連する可能性がある。
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