研究課題/領域番号 |
09557016
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
村松 喬 名古屋大学, 医学部, 教授 (00030891)
|
研究分担者 |
黒澤 信幸 名古屋大学, 医学部, 助手 (50241253)
佐久間 貞俊 明治乳業細胞工学センター, 所長(研究科)
門松 健治 名古屋大学, 医学部, 助教授 (80204519)
|
キーワード | ミッドカイン / 酵素抗体法 / 腫瘍マーカー / スプライシング異常 / リンパ節転移 / 骨折 / 遺伝子治療 / 炎症 |
研究概要 |
酵素抗体法による血清中のミッドカインレベルの大規模スクリーニングを行い、80%以上ののヒト癌患者ケースにおいてコントロール値より高く陽性であり、血清中のミッドカインレベルが腫瘍マーカーとして利用できる可能性が高くなった。短縮型のミッドカインmRNAの癌特異性がさらに確認された。また全例のリンパ節転移巣では短縮型が発現され短縮型ミッドカインmRNAは手術時において微細な転移等の存在をPCRによって検出する際の良いマーカーとなると考えられた。また、ミッドカインmRNAの発現は大腸癌の前癌段階のアデノーマにおいても上昇していることが明らかになった。ミッドカインはヒトの食道癌14例中8例に発現しているが、正常食道組織に発現されなかった。ミッドカイン遺伝子の5'上流域2.3kbは食道癌細胞株で下流の遺伝子の発現をうながすプロモーターとして作用した。そこでこのプロモーターを自殺遺伝子の発現に使うことが考えられた。実際このプロモーターの下流にチミジンキナーゼを置くと、遺伝子導入細胞はガンシクロビルに感受性を獲得した。ミッドカインは、骨折部に発現し、ミッドカインcDNAの導入と強制発現により、軟骨前駆細胞の分化をうながし、骨折の治療に応用する可能性が生じた。また、ミッドカイン遺伝子欠失マウスはシスプラチンによる腎障害を起しやすく、ミッドカインを制癌剤の細胞毒性を軽減する薬剤として使用することが考えられた。ミッドカインはリウマチ患者の滑膜液中に検出されるが、正常者の滑膜液中には見出されず、炎症と関連すると考えられていた。実際ミッドカインはマクロファージの遊走能を示した。ミッドカイン遺伝子欠失マウスでは血管内膜損傷時の内皮の肥厚が起らず、この時、マクロファージの遊走もなかった。マクロファージの遊走をミッドカインがうながし、その結果病像の形成が起ることが確認された。
|