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1998 年度 実績報告書

グリケーション反応中間体の検出による糖尿病合併症の早期診断法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 09557017
研究機関大阪大学

研究代表者

藤井 順逸  大阪大学, 医学部, 助教授 (00222258)

研究分担者 伊藤 哲  富士レビオ(株), 検査薬研究所, 室長(研究職)
谷口 直之  大阪大学, 医学部, 教授 (90002188)
キーワード糖尿病性合併症 / グリケーション / クリスタリン / グルコース / フルクトース / ポリオール代謝経路 / 白内症
研究概要

グリケーション反応はアミノ基に糖が結合し転位する前期反応と、終末産物(AGE)の形成される後期反応に分けられる。前期反応では、グルコースとの反応でAmadori化合物が生じ、フルクトースとの反応ではHeyns化合物が生成するため、免疫学的に識別が可能である。
まず、フルクトース化リジンを抗原として作製したポリクローナル抗体の特異性について検討したところ、本抗体はフルクトース化リジンとのみ反応し、グルコース化リジンに対しては全く反応性を示さなかった。フルクトースとインキュベートしたBSAに対する反応性を調べたところ、20mM以上のフルクトースで時間とともに反応性が増した。生成されたAGE量を蛍光を測定することによって定量すると、同じ濃度のフルクトースではグルコースよりも10倍以上のAGEを生成していることが判った。
次に、ストレプトゾトシンを尾静脈に注射することによって作成した糖尿病ラットを用いて、眼の水晶体について検討した。その結果、糖尿病を惹起してから4週目で既に反応が進行しており、少なくとも20週までは増加の傾向を示した。ラット水晶体は、他の組織に比べてポリオール代謝経路を形成するアルドース還元酵素とソルビトール脱水素酵素の活性が高いため、グルコースが蓄積し、フルクトースの産生も高まると考えられる。この蓄積したフルクトースが今回検出されたフルクトース糖化タンパクの原因と考えられるので、ポリオール代謝経路の中間産物であるソルビトールの定量を行った。その結果、よく知られているように、糖尿病ではソルビトール含量が2桁近く上昇しており、抗フルクトース化リジン抗体との反応性とよく相関していた。
以上のように、フルクトース化リジンに対する抗体の作製に成功したことは、ポリオール代謝経路によって生じるフルクトース糖化タンパクの検出を可能とし、糖尿病合併症の発症機構を明らかにするための有力な手段となると考えられる。

  • 研究成果

    (8件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (8件)

  • [文献書誌] Matsumoto,A: "A high expression of heme oxygenase-1 in the liver of LEC rats at the stage of hepatitis;the possible implication of induction in uninvolved tissues." Free Radic Res. 28. 383-391 (1998)

  • [文献書誌] Koizumi,M: "A marked increase in free copper levels in the plasma and liver of LEC rats:an animal model of Wilson disease and liver cancer." Free Radic Res. 28. 441-450 (1998)

  • [文献書誌] Fujii,J: "A defect in the mitochondrial import of mutant Mn-superoxide dismutase produced in Sf21 cells." J Biochem. 124. 340-346 (1998)

  • [文献書誌] Hatanaka,Y: "Reactive oxygen species enhances the induction of onducible nitric oxide synthase by sphingomvelinase in RAW264.7 cells." Biochim Biophys Acta. 1393. 203-210 (1998)

  • [文献書誌] Watanabe T: "Dysfunction of antioxidative enzymes in the trinitrobenzensulfonic acid-induced coliltis rat." Pathophysiology. 5. 191-198 (1998)

  • [文献書誌] Miyazawa N: "Immunological detection of fructated proteins in in vitro and in vivo." Biochem J. 336. 101-107 (1998)

  • [文献書誌] J.Fujii.: "Pathophysiology of Lipid Peroxides and Related Free Radicals" Japan Scientific Societies Press,Tokyo, 10 (1997)

  • [文献書誌] J.Fujii.: "Medical Biochemistry(Dominiczak MH,and Baynes JW eds.)" Mosby,London(in press), (1999)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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