研究課題/領域番号 |
09557028
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
近藤 一博 大阪大学, 医学部, 助教授 (70234929)
|
研究分担者 |
山西 弘一 大阪大学, 医学部, 教授 (10029811)
青野 利哉 東洋紡績(株)総合研究所メディカル研究所, 研究員
多屋 馨子 大阪大学, 医学部, 助手 (80263276)
稲城 玲子 大阪大学, 医学部, 助手 (50232509)
|
キーワード | サイトメガロウイルス / 潜伏感染 / 再活性化 / 骨髄移植 / 臓器移植 / NASBA法 / mRNA / AIDS |
研究概要 |
医療の高度化、AIDS患者の増加に伴い、免疫抑制状態下でのサイトメガロウイルス(CMV)の潜伏感染からの再活性化がウイルス感染症における最大の問題の一つとなっている。現在、CMVの再活性化を診断する方法として、i)CMV・DNA血症の診断、ii)CMV抗原の検出が行われている。しかし、i)は潜伏感染しているウイルスによる偽陽性率が高く、ii)は、診断に熟練を要す事とやや低感度であることが欠点であった。我々は、潜伏感染時には発現せず、再活性化が生じたときに大量に発現するウイルスmRNAを検出するシステムを作製した。対象としたmRNAは、潜伏感染時には全く発現せず、感染細胞中で高発現するβ2.7と呼ばれるmRNAである。他のmRNA(前初期遺伝子IE1,後期遺伝子pp65)の検出も試みたが、患者末梢血から充分な頻度で検出できたのはβ2.7のみであった。β2.7にはスプライシング部位が無い為、特異性を上げるために、我々はNucleic Acid Sequence Based Amplification(NASBA)法によるRNA特異的な核酸増幅法を採用した。結果として、この方法では、RNAはDNAに比べ、千倍以上増幅され易いことが判明した。これまでのところ、このシステムはCMV・DNA血症診断より高感度で、潜伏感染化CMV・DNAによる偽陽性が無い点が確認されている。この方法により、CMV再活性化の症状が出現する3日から7日前には、CMV再活性化を予見することがほぼ可能であった。また、この診断法は、治験薬として認可され、現在、臨床試験の準備が進行中である。
|