研究概要 |
これまでに開発したミエロイド,T,およびB細胞系列への分化能を解析できるmultilinage progenitor(MLP)アッセイ法を用いて,本年度は主に胎仔胸腺(FT)における前駆細胞の分化能について解析した.以前の研究で,胸腺へ移行するのは胎仔肝臓中でT系列へ決定された前駆細胞(p-T)であることを示したが,FTへ移行したp-Tの分化能をNK細胞や樹状細胞(DC)への分化能を含めて詳しく解析した.NK系列については,MLP法を改良しT細胞とNK細胞への分化を解析できる方法を開発し,FT中のいろいろの画分の個々の前駆細胞の分化能をしらべた.DC系列は1個の前駆細胞からの分化誘導は困難なので,paired-daughter analysisで解析した.その結果,従来p-Tと呼んでいたものはなお多能性であることが示された.すなわち,胸腺中の最も未分化なものはp-T/NK/DCであり,これがp-T/NKとp-DCとなり,さらにp-Tとp-NKに分かれる.その後p-TはαβT細胞,γσT細胞の2方向へ分かれるが,その分かれ方とは独立にTCRβおよびα鎖の再構成を行うことが示された.
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