研究概要 |
IL-18は多彩な生物活性を持つ。平成10年度は、IL-18の抗アレルギー作用と宿主免疫増強作用を研究した。 (1) 抗アレルギー作用: IL-18はIL-12の補助因子としてTh1細胞からのIFNgの産生を誘導するが、Th2細胞には全く作用しない。その理由を検討した結果、IL-12で刺激されたT細胞上には高親和性と低親和性のIL-18Rが発現しているが、IL-4で刺激されたT細胞上には発現していないことが明らかとなった(J.Immunol,1998)。マウスに線虫を感染させると大量のIgEが産生されるが、我々はマウスにIL-12とIL-18を投与すると、IgE産生が完全に抑制されることを報告した(PNAS,1997)。今回そのメカニズムを検討した。IL-12を投与するとT細胞、B細胞ともにIL-18Rを発現するようになり、同時に投与したIL-18が作用してIFNγの産生が誘導され、このIFNγの作用でIL-4依存性のIgE産生が抑制されることが明らかになった(投稿準備中)。更に、先天的に、IgE産生能が低下しているSJLマウスを用いて、その原因を解析したところ、このマウスではマクロファージからIL-12とIL-18が過剰に産生されていることが明らかとなった(J.Immunol,1998)。 (2) 宿主免疫増強作用: IL-18はIFNγの上流に位置するので感染に対して防御的な役割を演じることが予想された。そこで、Leishmania major(L.major)を感染させたBALB/cマウスに少量のIL-12とIL-18を投与した。(L.major)特異的Th1細胞が誘導され、この細胞が産生するIFNγの作用でL.major感染は防御された。更にこのマウスにL.majorを再感染させたところ、マウスは強い抵抗性を示した(投稿準備中)。
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