60歳以上の仙台市民65名、平均年齢66.7±3.5(60〜81)歳に対して、平成10年3月にベースライン検査を実施し、無作為割り付けにより運動群32名と対照群33名に分けた。同年4月から9月まで運動群に運動訓練(1週3回2時間ずつ)を実施した。その間、対照群には1ヶ月当り2回の健康講話とレクリエーション活動を行った。 推定最大酸素摂取量は、運動群(前期訓練群)で23.7ml/kg/分(平成10年3月)から26.8ml/kg/分(平成10年9月)へ3.1ml/kg/分の増加があり、さらに平成11年3月では27.1ml/kg/分と0.3ml/kg/分の増加があった。運動訓練による体力の改善は、訓練終了後も持続した。その要因として、日常生活での自発的な身体運動量の増加が考えられる。6ヶ月間の運動訓練の前後で身体活動量を比較した結果、1日当り消費エネルギーが運動群では(正味の差として)2.0Kcal/kg増加し、その差は有意であった。 被験者の家庭における自己測定血圧の推移を見ると、運動群の変化と対照群の変化との差(運動訓練による正味の変化程度)は、収縮期で-7.7mmHg、拡張期で-3.4mmHgであり、有意な低下があった。 免疫調節機構のバランスを反映すると考えられている末梢血Th1/Th2比の推移を測定したところ、運動群ではTh2細胞の割合が有意に増加したが、対照群に有意な変化は見られなかった。また運動群のみでIgG4の有意な減少が見られた。その機序には不明な点も多いが、運動訓練により免疫機能が影響を受けることが示された。
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