研究概要 |
われわれは赤血球赤血球抗原型・血清タンパク型・赤血球酵素型の遺伝子解析を行い、簡便なDNA判定法を考案することを目的として、本研究を企画した。本研究では赤血球抗原型として、(1)ABO式血液型、RH式血液型、ディエゴ式血液型(DI)、血清タンパク型として(2)オロソムコイド(ORM,アルファ-1-アシド・グリコプロテイン)、グループ・スペシフィック・コンポーネント(GC)、インター・アルファ・トリプシン・インヒビター(ITIH1)、補体第1成分R亜成分(C1R)、補体第7成分(C7),アルファ-1-アンチトリプシン(PI)、凝固系第13因子Bユニット(F13B)(3)赤血球酵素型としてフォスフォグルコムターゼ(PGM1)、エステラーゼD(ESD)、またその他の酵素として(4)デオキリボ核酸分解酵素(DNASEI)、アルデヒド脱水素酵素(ALDH2)、フォスフォマンノムターゼ2(PMM2)などを検討した。また、(5)親子関係に一見矛盾を与える欠損型遺伝子の証明が可能ならば、逆に、強い親子関係が証明可能となるので、欠損型遺伝子の親子鑑定例から見出し、分析した。一方、(6)世代間で起きた突然変異、すなわち、de novo突然変異についても分析した。本研究では血液系遺伝的多型のDNA解析を行い、その分子遺伝学的な基盤をあきらかし、実務例に応用し、成果を上げてきた。さらに、本研究で得られた知見が法医学領域のみならず広く医学・生物学に寄与できるものと確信している。
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