研究概要 |
前年度に引き続き、VWA-FES-F13A1のtriplexシステムについて検討し、併せて性染色体上のSTRの組み合わせについても検討した。 VWA-FES-F13A01のtriplexシステムでは、アニーリング温度を54℃とした時に同時に各STRとも増幅可能であった。日本人集団試料について本システムで調査すると次の成績が得られた。即ち、アリルの頻度はVWA(n=114)では、14:0.110,15:0.035,16:0.215,17:0.250,18:0.250,19:0.118,20:0.022、FES(n=103)では、9:0.015,10:0.087,11:0.364,12:0.320,13:0.209,14:0.005、F13A01(n=114)では、2.3:0.356,4:0.081,5:0.021,6:0.542であり、それぞれHardy-Weinbergの法則に矛盾は認められなかった。また、それぞれのheterozygocity-discrimination power-meanexclusion chance・polymorphism inforomation contentは、VWA:0.801・0.930・0.577・0.742、FES:0.714・0.863・0.410・0.610、F13A01:0.572・0.735・0.214・0.412であった。 X染色体上のSTRX1、HPRTB,ARAについて、Y染色体上のDYS390、DYS393について、マルチプレックスPCRシステムを検討した。アニーリング温度55℃でSTRX1、HPRTB,DYS390、DYS393のquadruplexが、同じく60℃でARA、DYS393の組み合わせが、アニーリング温度55℃と60℃でARA、DYS390の組み合わせが可能であった(J Forensic Sci.,44(4),1-6,1999)。 本研究の目的の一つは、STR断片の塩基配列の差異による構造多型に言及することであった。しかし、我々が指向したダイレクトシークエンス法では、往々にして配列を判読不能な部分が複数個所認められ、問題を残すこととなった。STR構造多型、特に塩基配列決定法については今後の課題としたい。
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