研究課題/領域番号 |
09557043
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
柏村 征一 福岡大学, 医学部, 教授 (70004710)
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研究分担者 |
原 健二 福岡大学, 医学部, 助手 (00090738)
影浦 光義 福岡大学, 医学部, 教授 (40037594)
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キーワード | 一酸化炭素 / ガスクロマトグラフィー / 質量分析法 / 冷却濃縮 / 状況分析 / 焼死体 / 血液 / 炭化水素 |
研究概要 |
焼死体の主な化学検査として、従来から一酸化炭素ヘモグロビン(Hb-CO)飽和度の測定が行われているが、火災発生時および死亡直前の状況を把握するには、証拠不足と思われ、特に、Hb-CO飽和度が低値の場合、火災発生時の生死の判定が非常に困難なことがある。死者が、火災発生時に生存していたとすれば、燃焼ガス、発火材の揮発性成分などを吸入していたことは明確であり、そのガスを血中から検出できれば重要な所見を得ることになる。本研究の目的は、血中の揮発性炭化水素分析の結果を、火災発生時における犠牲者の生死判定の1ファクターにするのに加え、さらに炭化水素の組成パターン分析から燃焼ガス成分、発火に用いた石油ガス成分の種類などを明確にできるファクターを求める。それにより、血中に含まれる一酸化炭素の発生由来ならびに火災発生時の状況を明確にすることが可能になると思われる。以上のことを可能にするため、研究初期段階においては、微量揮発性成分の一斉分析の開発をする。本年度は、ヘッドスペース前処理装置を既存のガスクロマトグラフ・質量分析装置に設置し、本分析の高感度化、高精度化ならびに自動化を検討するための基礎データ収集に取りかかった。具体的には、カラムオ-ブンに低温冷却装置を採用し、気化平衡試料成分をメチルシリコン系カラムRtx-1(60m x 0.32mm,膜厚 1.0μm)に冷却濃縮して高感度分析を検討した。その結果、炭素数7から炭素数12までの炭化水素を高い分離能により、従来の方法よりも数倍の感度で検出できることがわかった。しかし、炭素数7以下の炭化水素のピークは幅広く、定量的に証明することは困難であった。また、低温冷却装置を使用するにあたり、液体二酸化炭素を必要とし、長時間に渡る分析には適していないことがわかり、カラムの変更など、方法の実務化に関する検討を行っている。
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