グルココルチコイド受容体(以下グ受容体)を介した情報伝達経路の分子生物学的理解を深め、グ受容体以降の情報伝達系を多様にかつ選択的に調節する薬理学的方法を確立することを目的とした。 [1] 化合物ライブラリーからの一次スクリーニング系の確立 生細胞を用いてgreen fluorescent proteinで標識したグ受容体の核移行を検出するシステムを構築した。かかるシステムは他の転写因子の機能解析にも応用可能であることを証明した。 [2] グ受容体とAP-1との相互作用に対するリガンドの役割の解明 グ受容体を活性化するウルソデオキシコール酸がグ受容体依存性に転写因子AP-1応答性遺伝子発現を抑制することを明らかにした。 [3] グ受容体のレドックス制御機構の解明と酸化還元活性を有する新規化合物の作用の解析 グ受容体のリガンド結合・核移行、そして標的遺伝子の転写調節活性のレドックス制御の分子機構を明確したとともに、新規抗酸化剤EPC-K1によるグ受容体制御法を開発し、抗炎症療法の改良に貢献しつつある。
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