研究課題/領域番号 |
09557045
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
金ケ崎 士朗 東京大学, 医科学研究所, 教授 (10012767)
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研究分担者 |
布井 博幸 熊本大学, 医学部, 助教授 (50218260)
小林 園子 東京大学, 医科学研究所, 教務職員 (00013764)
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キーワード | スーパーオキシド / レトロウイルスベクター / 慢性肉芽腫症 / MDR遺伝子 / 遺伝子治療 / gp91 / p47 / 遺伝子導入 |
研究概要 |
スーパーオキシド産生に関わるgp91、p47、p67各遺伝子につき、これらの遺伝子とヒトのPグライコプロテイン遺伝子(多剤耐性の性質を持つMDR遺伝子)を効率よく共発現すレトロウイルスベクターRVを癌研杉本らと共同で開発した。先の遺伝子に欠損が生じると慢性肉芽腫症CGDとなる。作製したRVはpHaベクターに当該遺伝子とMDR遺伝子をinternal ribosomalentry siteを介して結合させたもので、生体内で選択可能にしてあり次世代のCGD遺伝子治療法としてその有用性が期待される。これらのベクターは培養細胞では両者の遺伝子産物を効率よく発現させることができた。たとえば我々はgp91に対するベクターでは当初のタイターが低いにも関わらず、患者由来のB細胞株で薬剤選択後70%の細胞が修復される結果を得た。これらの細胞株は、本邦のgp91欠損CGD患者から樹立したもので、その変異遺伝子の解析も進めているが、その発現には変異種類による大きな違いは認められなかった。また、インディアナ大学Dinauerにより作製されたgp91欠損CGDモデルマウスの骨髄より造幹細胞を分離し、先のベクターを用いて遺伝子導入を試みたところ、gp91の遺伝子産物であるヒト型シトクロムが発現した。一方この間、既にp47遺伝子治療法を試みているNIHのMaleckは(最大0.5%の修復)、新たなパケージング細胞を用いることによりgp91に対するMFGSベクターで、タイターの非常に高いウイルス粒子(10^7)を分離することに成功した。そこで患者由来のB細胞ににその導入を試みた。その結果最大98%、低い例でも30-40%の細胞が修復され、これに伴ってスーパーオキシド産生能も回復することを明らかになった。従ってこのパケージング細胞を用いて先に開発したRVのタイターを上げれば、より効率のよい遺伝子治療が見込めると考えられる。
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