研究概要 |
1.マウスSLPI cDNAのクローニング マウス肺poly(A)^+RNAを鋳型とし,degenerate primersを用いたRT-PCRでマウスSLPIのcDNAをクローニングした(Am.J.Respir.Crit.Care Med.156:1235-1240、1997)。 2.マウスSLPI遺伝子のクローニングとその染色体上の局在 上記cDNAをプローブとしてマウスゲノムDNAライブラリーからマウスSLPI遺伝子の全長をクローニングした(Eur.Respir.J.10:255S,1997)。その全塩基配列から,マウスのSLPI遺伝子もヒトと同様に4つのエクソンからなるほぼ同一の構造をもつことがわかった。また,in situ hybridizationにより,マウスSLPI遺伝子は染色体2Hにマップされた。 3.細菌性肺炎の肺組織中のSLPI遺伝子の発現の変化 マウスの細菌性肺炎の肺組織中でのSLPI遺伝子の発現を,マウスSLPI cDNAをプローブにしたノーザンブロットで検討した。その結果,肺組織中のSLPI mRNAは感染10時間後から約3倍に増加し,そのレベルは少なくとも感染後48時間持続した(Am.J.Respir.Crit.Care Med.156:1235-1240,1997)。この間,脾臓のSLPI mRNAのレベルは不変であり,SLPI遺伝子は炎症の場で局所的な発現調節を受けていることをin vivoで実証した。 4.ブレオマイシン(BLM)肺傷害における肺組織でのSLPI遺伝子の発現の変化 当研究室で報告した浸透圧ポンプからBLMを投与する系(Am.J.Respir.Crit.Care Med.156:1937-1944,1997)で,マウス肺組織中のSLPI mRNAの変化を3.と同じ方法で検討した。しかし,有意の変動を認めなかった。この系に関してはBLMの作用の再現性を再検討する予定である。 5.マウスSLPI組み換えタンパク作製のための発現ベクター 現在大腸菌用と動物培養細胞用のデザインを検討中である。
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