研究概要 |
Secretory leukoprotease inhibitor(SLPI)にはプロテアーゼインヒビターとしての機能以外の抗炎症効果があることが最近報告されている。本研究計画ではSLPIの生理的機能とその治療への応用の可能性を検討する目的で,マウスSLPI遺伝子(前年度までにクローニングが完了,Kikuchi,T.,et al:Structure of the murine secretoryleukoprotease inhibitor(Slpi)gene and chromosomal localization of the human and murine SLPI genes.Am.J.Respir.Cell M0l.Biol.19:875-880,1998)を用い,1. マウスSLPIの組み換えタンパク(とその抗体)を作製すること 2. 遺伝子ターゲッテイングを行うこと の2つを計画した。それぞれの計画において得られた成果は次のとおりである。 1. 外来遺伝子由来のタンパク質を分秘タンパクとして培養液中へ分秘する酵母用発現ベクターにマウス-SLPIcDNAを組込み,このベクターで酵母を形質転換し,マウスSLPIcDNAが導入された酵母を2クローン得た。 2. マウスSLPI遺伝子中の4つのエクソンをネオマイシン耐性遺伝子(neomycin phosphotranssferase)で置き換えたtargeting constructを作製した。 このほか,細菌性肺炎のマウス肺組織中でのSLPI遺伝子発現をin situ hybridizationで検討した(投稿準備中)。以上の成果をもとにした今後の研究計画は次のとおりである。 ●形質転換した酵母の培養液,および菌体成分中のマウスSLPIタンパクの同定 ●マウスSLPI遺伝子のtargeting constructによるmouse embryonic stem cell(ES細胞)の形質導入,および形質導入した細胞のクローニング
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