研究概要 |
Secretory leukoprotease inhibitor(SLPI)には,単にプロテアーゼインヒビターとしてでなく,炎症を修飾する作用をもつことが,最近報告されている.本研究申請に際し,SLPIの生理的機能とその治療への応用の可能性を検討する目的で,我々がクローニングしたマウスSLPI遺伝子を用いて,(1)マウスSLPIの組み換えタンパク(とその抗体)の作製,(2)遺伝子ターゲッティングを計画した.それぞれの計画において得られた結果は以下のとおりである. ● マウスSLPIペプチドの合成完了 ● マウスSLPIペプチドを免疫源としたウサギ抗マウスSLPIポリクローナル抗体の完成 ● 抗マウスSLPI抗体による免疫組織染色法の確立と肺炎球菌肺炎におけるSLPI発現細胞の同定 ● in situ hybridization法による,肺炎球菌肺炎におけるSLPI発現細胞の同定と経時的変化の解明 ● in situ hybridization法による,炎症性細胞におけるSLPI発現の証明 ● マウスSLPI発現レトロウイルスベクターの開発 ● マウスSLPI発現レトロウイルスベクターによる肺癌の治療法の確立 ● マウスSLPI発現アデノウノルスベクターの開発 ● マウスSLPI発現アデノウノルスベクターによるマウスSLPI組み換えタンパク(とその抗体の作製) ● マウスSLPI遺伝子のtargeting constructによるmouse embryonic stem cell(ES cell)の形質導入,および形質導入した細胞のクローニング 近い将来ノックアウトマウスの完成より,SLPIの持つ末知の生理的機能を完全に解明できると考えている.
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