研究課題/領域番号 |
09557059
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
増田 道明 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (80199702)
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研究分担者 |
新藤 隆行 東京大学, 医学部・附属病院, 医員
栗原 由紀子 医薬品副作用被害救済研究新興調査機構, 研究員
岡山 峰伸 ディナベック研究所, 技術研究員
栗原 裕基 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (20221947)
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キーワード | 細胞分化 / 血管内皮細胞 / 血管平滑筋細胞 / 神経提細胞 / ウイルスベクター / 遺伝子導入 / エンドセリン / 遺伝子治療 |
研究概要 |
レトロウイルスベクターは遺伝子治療において有用な道具と考えられているが、プロウイルスDNAが宿主細胞染色体に組込まれるため、従来のベクターでは非可逆的遺伝子導入のみが可能であった。増田はこの問題に対処するため、Cre-loxP相同組換えを利用した2種類の新規レトロウイルスベ夕ターを開発した。二つは、ベクター内の構造が逆位を起こすことにより導入遺伝子の可逆的制御を可能にする“Flip-Flop"型ベクター、もう一つはLTR内にloxP配列を持ち、Cre依存性に導入遺伝子を除去できる切り出し可能型ベクターである。後者はプロウイルス組込み部位の宿主染色体DNAや、ベクターによる挿入変異の影響の解析にも有用であり、レトロ-ウイルスベクターによる遺伝子治療の安全性評価にも供することが期待される。 一方栗原らは、エンドセリン-1(ET-1)ノックアウト(KO)マウスの解析から、ET-1がbHLH型DNA結合蛋白であるdHANDの発現維持を介して血管系発生分化の制御に関与している可能性を示した。さらに、マウス胚から調製した初代培養神経堤細胞がET-1依存性に血管平滑筋細胞への分化能を示すことを見出し、これを利用してFGF-2が平滑筋分化を抑制し、BMP-2およびBMP-4による分化促進効果とは対照的であることを明らかにした。 今後は、これらの成果を応用して(例えば、p53KOマウスやSV40T抗原過剰発現マウスの胚からの神経堤細胞調製、レトロウイルスベクターによる各種核転写因子遺伝子の導入など)、血管平滑筋細胞への分化能を保持した株化細胞を樹立し、心血管系疾患の遺伝子治療動物モデルを作成していく予定である。
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