遺伝子工学による新しい治療用アイソトープ標識ヒト型モノクローナル抗体の開発

1998 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 09557067
• 研究機関: 群馬大学
• 研究代表者: 遠藤 啓吾 群馬大学, 医学部, 教授 (10115800)
• 研究分担者: 神田 秀俊 栄研化学(株), 免疫センター, 研究員 ; 阪原 晴海 京都大学, 医学部, 講師 (10187031)
• キーワード: モノクローナル抗体 / 遺伝子工学 / 癌治療 / アイソトープ / 悪性リンパ腫 / 放射性ヨード / CD20抗原 / レニウム-186

研究概要

アイソトープ(RI)標識モノクローナル抗体が、免疫反応により病巣に特異的に集積することを利用して、抗体は癌、炎症、心筋梗塞、血栓などの画像診断のみならず癌、エイズや移植に伴った急性拒絶反応などの治療にも応用されようとしている。そこで本研究では悪性リンパ腫をモデルとして、遺伝子工学により副作用の少ない治療用RI標識ヒト型モノクローナル抗体を開発することを目的として研究を行っている。
まずBリンパ球細胞表面抗原CD20と反応するマウス由来のモノクローナル抗体を用いて、動物を用いた基礎検討を行った。放射性ヨード(^<131>I)で抗CD20抗体を標識。悪性リンパ腫細胞を移植したスキッドマウスに投与したところ、移植腫瘍の増殖を抑制した。抗CD20抗体を臨床応用すべく製造中で、平成11年度に安全性試験を行った後、本学倫理委員会の許可を得て、悪性リンパ腫患者における^<131>I標識抗CD20抗体の腫瘍集積性、腫瘍への放射線吸収線量を測定する予定である。
さらに細胞障害性の強いアイソトープであるレニウム-186(^<186>Re)の抗体標識に関する研究を行っているが、レニウム-186は腫瘍集積性が高く、放射性ヨードと異なり外来治療できると考えられ、患者のQ0Lからも臨床応用が期待されている。一方、β線放出核種であるイットリウム-90(^<90>Y)は比放射能が低く、抗CD20抗体の標識にはなお検討が必要である。

研究成果

• [文献書誌] Higuchi,T.: "^<99>Tc^m-labelled chimeric human/mouse anti-granulocyte antibody bone marrow scintigraphy:A preliminary clinical study" Nuclear Medicine Communication. 19. 463-474 (1998)
• [文献書誌] Inoue,T.: "Biodistribution studies on L-3-(Fluorine-18)Fluoro-α-methyl tyrosine:A potential tumor-detecting agent." J Nucl Med. 39. 663-667 (1998)
• [文献書誌] Oriuchi,N.: "Antibody-dependnet difference in biodistribution of monoclonal antibodies in animal models and humans." Cancer Immunol Immunother. 46. 311-317 (1998)
• [文献書誌] Tomaru,Y.: "Semi-automated renal region of interest selection method using the double-threshold technique:inter-operator variability in quantitating ^<99m>Tc-MAG3-reanal uptake." Eur J Nucl Med. 25. 55-59 (1998)
• [文献書誌] Amano,S.: "In vivo comparison of PET and SPECT radiopharmaceuticals in detecting breast cancer." J Nucl Med. 39. 1424-1427 (1998)
• [文献書誌] Sarwar,M.: "^<99m>Tc-labeled chimeric anti-NCA 95 antigranulocyte monoclonal antibody for bone marrow imaging." Radiation Medicine. 16. 391-397 (1998)
• [文献書誌] 遠藤啓吾: "画像と病理像からみた呼吸器疾患" メジカルビュー社, 270 (1998)