研究課題/領域番号 |
09557071
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研究機関 | 宮崎医科大学 |
研究代表者 |
川井 恵一 宮崎医科大学, 医学部, 助教授 (30204663)
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研究分担者 |
荒野 泰 京都大学, 薬学部, 助教授 (90151167)
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キーワード | 免疫核医学 / 癌の診断・治療 / 放射性ヨウ素標識試薬 / 腫瘍部位解裂性 / 酸解離性スペーサー / ヨウ素標識アミノ酸 / アミン-無水酸結合体 |
研究概要 |
本研究では、高い生体内代謝安定性、尿排泄性を有する一方で、腫瘍細胞への集積性を有する放射性ヨウ素標識化合物を酸性pHで開裂するスペーサーを介して蛋白質に結合する標識試薬の開発を目的とする。本年度までに、以下の項目に関して検討を実施した。 1. 腫瘍集積性ヨウ素標識化合物の探索・・・・酵素的脱ヨウ素化反応を含む分解代謝系に対する高い安定性と尿排泄性を具備する種々のヨウ素標識アミノ酸を合成した。マウスエールリッヒ腹水癌細胞では、α-methyl-L-tyrosine、D-tyrosine等のヨウ素標識体がアミノ酸能動輸送機構への高い親和性を示し、腫瘍細胞へ投与後速やかに高く集積することが判明した。また、検討した腫瘍系では高い代謝安定性を示し、これらの尿排泄性も腎機能診断薬に匹敵するものであった。更に、これらの知見から特定の腫瘍細胞系における細胞内滞留性の向上を目的とした新規アミノ酸誘導体をデザインし、合成した。 2. モデル結合体の作成・・・・上記検討の結果、高い腫瘍集積性を示したヨウ素標識チロシン誘導体のモデル化合物としてα-methyl-L-tyrosine、p-hydroxynorephedrineを選択し、一方、アミン結合部位として数種の無水酸と結合させたモデル結合体を合成した。これらは反応性の違いはあるものの生成が確認された。今回得られた結合体の標識は、簡便な操作で短時間に高い標識率を示し、精製後、高い放射化学的純度の無担体標識体が得られたことから、本標識試薬の標識条件を確立したと考えられた。 3. モデル結合体の酸解離性の評価・・・・上記検討より得られたヨウ素標識モデル結合体を用い、種々のpHにおける解離性を評価した結果、今回検討したすべての結合体が生理的pHでは48時間まで安定であった。更に、低pH環境において本結合体の解離が進行した。特にアルキル側鎖を有する結合体ではpH感受性が高くなる傾向を示し、本標識試薬のデザインに有望な結果が得られた。
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