研究分担者 |
鏑木 康志 東京大学, 医学部・附属病院, 医員
為本 浩至 東京大学, 医学部・附属病院, 医員
門脇 孝 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (30185889)
UEKI Kohjiroh Faculty of Medicine, University of Tokyo, Medical Staff
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研究概要 |
我々は、インスリン抵抗性のモデル動物であるZucker fa/faラットにトログリタゾンを投与しインスりシ抵抗性の改善の機序について検討した。トログリタゾンを投与したZucker fa/faラットの脂肪組織の組織所見では、皮下脂肪組織も後腹膜脂肪組織もともに小さな脂肪細胞の数が増加し、大きな脂肪細胞の数が減少していることが明らかになった。実際、非投与群に比べ2500μm^2以下の小脂肪細胞の数は約4倍に増加し、5000μm^2以上の大脂肪細胞の数は約50%に減少していた。小さな脂肪細胞はトログリタゾンの投与で分化したぱかりのまだ若々しい脂肪細胞と考えられこの脂肪細胞には骨格筋でのインスリン低抗性を改善する作用があり、一方、大きな脂肪細胞は脂質が蓄積し、糖代謝改善作用の低下したインスリン低抗性を増悪する作用を有する脂肪細胞と考えられた(Okuno et al,J.Clin.Inves.101,1354-1361,1998)。さらに、我々は、PPARγの生体内の役割を明らかにするためにPPARγの欠損マウスを作製した。PPARγヘテロの欠損マウスと野生型を高脂肪食下で飼育すると、PPARγヘテロの欠損マウスは野生型に比べ肥満になりにくくインスリン抵抗性の増悪ほ軽度であった。また、血中のレプチンが高値を示し、ヘテロの脂肪細胞は高脂肪食下でレブチン産性能が高いという性質を持つという意味においてインスリン抵抗性を改善する作用を有していると考えられた(Kubota:Mol.Cell,4:597-609,1999)。また、日本人の糖尿病患者において転写活性の低いPPARγPro12Alaのアリールが、健常者に比べ低率であることから、PPARγPro12Alaのアリールは、高脂肪食・運動不足の現代の生活において抗肥満・抗糖尿病の遺伝子と考えられた。
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