研究課題/領域番号 |
09557080
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中尾 一和 京都大学, 医学研究科, 教授 (00172263)
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研究分担者 |
藤沢 幸夫 武田薬品, 創薬研究本部, 主任研究員
小川 佳宏 京都大学, 医学研究科, 助手 (70291424)
細田 公則 京都大学, 大学院・人間環境学研究科, 助手 (40271598)
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キーワード | レプチン / トランスジェニックマウス / 脂肪組織 / 体重 / 摂食量 / 肥満 |
研究概要 |
レプチンの摂取とエネルギー代謝調節における生理的・病態生理的意義を検討する目的で、レプチン過剰発現トランスジェニックマウスの開発を試みた。マウスのレプチンcDNAを、ヒトserum amyloid Pcomponent プロモーターに連結した導入遺伝子を作製し、BDF1マウス受精卵にマイクロインジェクションした。得られたFoマウスの尾より抽出した染色体DNAを用いて、サザンブロット法にて導入遺伝子の有無を検討した。全身の表現型については肉眼的及び組織学的変化を検討した。摂食行動については4週齢より17週齢までトランスジェニックマウスの体重変化を測定し、10週齢のマウスを用いて2週間の累積摂餌量について検討した。導入遺伝子コピー数が3、8、30コピーのトランスジェニックマウスを得たが、今回は30コピーの導入遺伝子を有するマウスを解析した。4週齢より17週齢までのトランスジェニックマウスの体重増加は、対照マウスの約70%であり、著しい体重増加の抑制が認められた。又、2週間の累積摂餌量についてもトランスジェニックマウスでは対照マウスと比較して約70%に減少していた。トランスジェニックマウスでは全身の肉眼的に確認できる白色脂肪組織と褐色脂肪組織が認められず、著しい痩せを呈した。更に組織学的検討にても全身の脂肪組織が完全に欠損していることが明らかになった。本研究により得られたレプチン過剰発現トランスジェニックマウスは全身の脂肪組織が消失する新しいモデル動物になると考えられた。更に、レプチンの持続的なエネルギー代謝調節作用が証明され、レプチンの肥満や関連疾患における治療薬としての有用性が示唆された。
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