研究概要 |
骨は、破骨細胞による骨吸収と造骨細胞によるカルシウム沈着の共同作用(カップリング)によってつくられ、維持される。骨粗鬆症は、その破綻と考えられる。我々は、本年、以下の研究を行い、予想を上回る成果を収めた。 1) 破骨前駆細胞の純化:マウス骨髄細胞から、KIT,Mac-1,M-CSF受容体であるc-FMSなどの抗体を用いてFACSによりそれぞれの細胞分画を分離し、ST-2細胞上で培養し、TartrateResistant Acid Phosphatase(TRAP)陽性破骨細胞の出現頻度を検討した。その結果、破骨前駆細胞は、KIT陽性、Mac-1弱陽性、c-FMS陽性であることが分かった。 2) 破骨細胞への分化決定:M-CSFは、KIT陽性、Mac-1弱陽性、c-FMS陽性に作用し、Osteoclast Differerentiation Factor(ODF)の受容体であるRANKを24-72時間以内に増加させることが分かった。この作用は、IL-3などより顕著であった。このRANK陽性細胞にODFとM-CSFを作用させると、破骨細胞の分化がみられたが、M-CSFだけでは、マクロファージ分化しか見られず、またODFだけでは、細胞の生存・増殖がみられなかった。 以上、破骨前駆細胞を同定し、M-CSFとODFの機能を明らかにすることが出来た。破骨細胞に特異的に発現されるTRAP遺伝子のプロモーター領域にGFP遺伝子をつないだトランスジェニックマウスを作成することもできたので、これらの細胞を用い、さらに単細胞レベルで破骨細胞分化の決定機構を解明する予定である。
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