研究概要 |
以下の三つの視点に立って研究を展開した。 1)破骨細胞は、単球系前駆細胞から分化し、マクロファージとの分岐機構は、造血細胞の分化決定のモデルとなりうる。 2)破骨細胞の分化は、造血環境の構築という点において緊密に連関し、骨髄造血における重要な機能系である。 3)造血幹細胞由来の破骨細胞と間葉系幹細胞由来の骨芽細胞によるリモデリングは、系譜の異なる細胞の相互作用を考える点で興味深い。 我々は、マウス破骨細胞前駆細胞をFACSを用いて純化し、M-CSF,RANKLの作用点を明らかにした。破骨細胞分化は、M-CSFによって発現誘導されたRANK受容体に一定の時間内に、RANKLが結合することによって完了する。M-CSFは、細胞増殖・生存に必要であり、RANKLは分化決定に不可欠と考えられる。RANKが発現していても、RANKLの結合がなければ、前駆細胞はマクロファージへと分化することより、マクロファージ分化はデフォルトの分化経路と考えることができる。さらに、我々は、破骨細胞前駆細胞のコロニー形成系の検討により、インテグリンを介する細胞接着が、破骨細胞の最終分化に重要な役割を演ずることを明らかにした。また、この破骨細胞の分化系に対して、GM-CSFは、拮抗的に作用すると考えられた。 一方、間葉系幹細胞由来の骨芽細胞が、血管新生・破骨細胞分化に関与しており、造血環境の構築に貢献していることを明らかにした。
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